【感想】おやすみラフマニノフ 作中の演奏を音で聴いてみた

 小説「おやすみラフマニノフ」の感想。※ 内容に関する記載あり

 ジャンルを一言で言うなら「音楽ミステリー」。

 前作の「さよならドビュッシー」は第8回「このミステリーがすごい!」の大賞を受賞した。 

 「さよならドビュッシー」でいわゆる探偵役だった岬洋介が本作でも登場し前作と同じように謎を解き明かす役を果たすが、前作とは独立した話になっているので「さよならドビュッシー」を読まなくても楽しめる作品になっている。ただ、「さよならドビュッシー」のエピソードが時々登場するのでそういった小ネタは読んでて楽しかった。

 

 自分がミステリー小説を読むときは「物語を楽しむ気持ち7割」「自力で謎を解き明かしたい気持ち3割」で読んでいるが、今回も自力で謎を解き明かすことはできなかった。

 ただ、読んでいる途中で不自然に思った点は一点あった。それは城戸晶は明らかに初音さんに好意を抱いているにもかかわらず、初音さんからのアプローチに対し消極的な点だ。てっきり二人は恋人同士かと思っていたから「え?どういうこと?」と思ったが、特に考察せずにそのまま読み進めてしまった。疑問を放置せず少し立ち止まって考えればよかった。ちょっと反省。

 謎というと物語の序盤に完全密室からストラディバリウスが消える事件が発生したが、正直途中でそのこと忘れてしまってた。それくらい夢中になって読んでいた。この物語は確かに「ミステリー」ではあるのだが「音楽」に関するストーリーも面白い。犯人が誰か?という点ももちろん気になるのだが、物語がどのような結末を迎えるのか(コンサートは無事開催されるのか?気持ちがバラバラのメンバーをまとめることができるのか?、などなど)という点も楽しめるポイントだと思う。

 

 ストーリー以外の点にも目も向けてみる。

 この小説はいくつかの章で構成されている。第1章のタイトルは「Affannoso piangendo 〜悩ましく嘆きながら〜」だが、調べてみるとこれらは音楽用語から取られているようだ。

 affannoso | 音楽用語辞典

 piangendo | 音楽用語辞典

 音楽用語ってピアニッシモとフォルテッシモくらいしか知らなかったので、他にもたくさんあって驚いた。

 

 物語の中盤で豪雨に襲われる話がある。(作中時間で)10年前の集中豪雨「東海豪雨」について言及されているシーンがあったがこれは実際に起こった災害である。

 東海豪雨(2000年9月11日) | 災害カレンダー - Yahoo!天気・災害

 写真を見るとかなり水没しているのがわかる。作中で発生した豪雨がこれと同じ規模の豪雨としたら、想像以上に大変な状況だったのかもしれない━━━

 

 そして、忘れてはいけないのは演奏描写だ。作中で演奏された曲を実際に聴いてみた。

 すごくよかったことを伝えたいのだが自分に音楽的素養がなさすぎて感想を文字にできないので、これだけコメントしておく。

 

指めっちゃ動くやん。