【鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎】鬼太郎父鬼太郎そっくりじゃん(逆だが)【感想】

 今風に言うならゲゲゲの鬼太郎 エピソード・ゼロ、といったところか。

 鬼太郎の父親といえば目玉おやじの姿が一般的に知られている。もちろんその姿が本当の姿ではないことは映画を観る前から知っていた。原作をちゃんと読んだわけじゃないから正確に知ってるわけではないが、確か元ははちゃんとした人間?体だったけどなんか色々あって目玉以外が溶けたという話だった気がする。まあ、ゲゲゲの鬼太郎はシリーズごとに設定が変わるからこの映画が正史というわけではないとは思うけど。

 映画の主人公は鬼太郎の父親。見た目は鬼太郎そっくりだ(逆だが)。もう1人の主人公は元日本兵の銀行員「水木」。少し欠けた左耳が特徴だ。
 物語の舞台は哭倉村。龍賀という一族に支配されているちょっと怪しい村だ。いや、ちょっとというかかなり怪しい村だ。龍賀の縛りから逃れたい一族の娘。龍賀一族のみを相手にした猟奇的連続殺人事件。絶対に入ってはいけない神域の島。その島に入った結果頭がおかしくなった人。なんというか、いい意味であるあるな展開てんこ盛りみたいな村だ(まあこれも多分逆だけと思うけど)。Trickが頭をよぎった。あと少し前に名探偵津田見たから津田来てくれーって思った。

 鬼太郎父が哭倉村にやって来たのは行方不明になった妻を探すためだ。まあその妻は龍賀一族に捕えられて、鬼太郎父は妻を助けるために戦うのだが、下駄を遠隔操作したり髪の毛で攻撃したりと鬼太郎の戦い方と通ずるところがあって良かった(これも逆だが)。体内電気的な技も使ってたかな。

 そして何よりあのちゃんちゃんこ。鬼太郎といえばあのちゃんちゃんこを思い浮かべる人も多いだろう。確か鬼太郎自身も「先祖の霊毛で編んだちゃんちゃんこ」と説明してた気もするが、龍賀一族との戦いの中で編まれたものだった。こういう細かい鬼太郎知識が補完されていくところが一番楽しかった。

 そして、全ての黒幕であるあいつが負けた理由、マジで「クソみたいな驕りと油断」だった。まさかただの人間である水木青年に敵意を持たれているとは思わなかったのかな。まあ確かに水木青年が哭倉村に来た理由は例の精力剤な訳で、その精力剤生成の邪魔をするとは思わないかもね。しかし水木青年の本質はそこじゃないと思う。彼は確かに野心を持って村にやって来た。龍賀一族を自分の出世の足がかりにするために動いて来た。しかし過去の戦争の経験から「自分の身の安全を優先しながら他者に犠牲を強いる」やり方を嫌悪しているはずだ。そんな奴らよりは酒を飲み交わした男に味方するのは当然だ。

 この映画の本編はエンドロール後にあるようだ。なぜ鬼太郎が人間の味方をするのか、人間を守るのか、その背景がなんとなくわかるよう描写されているのがいいね。「鬼太郎の父たち」という言葉もまたいい。

【公式】墓場鬼太郎 第1話「鬼太郎誕生」 - YouTube
 事前に墓場鬼太郎を見たほうが良かったらしい。ちょっと年末年始の時間がある時に見てみようと思う。